2019年 中島誠之助 山崎石材を語る
2017年よりイメージキャラクターとして活躍いただいている中島誠之助氏と、弊社代表取締役である山崎雅康との対談も早3年目。今年は、対談前に今福展示場と第二室内展示場にご案内し、墓石をはじめ弊社が扱うさまざまな石をご覧いただきました。
伝統や技術を次世代へ伝えてくれる石。
時代のニーズに合わせながら、もっと愛される存在に。
- 山崎:
- 今回も川越までお越しいただき、ありがとうございます。早いもので3回目の対談となります。
- 中島:
- そうですね。もう川越に参りますと、どこか懐かしさを感じますね。
- 山崎:
- ありがとうございます。今日は、川越の有名料亭『山屋』さんをお借りし、対談の席を設けさせていただきました。
- 中島:
- 昨年おじゃました鰻屋さんもそうですが、川越には趣のあるお店が多いですね。歴史がある街なんだと改めて思い出させてくれます。
- 山崎:
- 今回は、手前どもの今福営業所にて、さまざまな墓石をご覧いただきました。いかがでしたでしょうか。
- 中島:
- いやぁ、楽しかったですねぇ。国産の本小松石や庵治石、万成石にはじまって、黒石もインドやスウェーデンなど産出される国で質が異なることなど、石というものの認識がぐんと深くなりましたよ。まさに美術館か博物館を巡ったような気分です。いろんな産地の石をうまく今のくらしになじむデザインに工夫し、墓石や石材に加工なさっているという、その努力は胸に迫りますね。
- 山崎:
- ありがとうございます。ご覧いただいた「語らいシリーズ」や「カーサシリーズ」など、これからも新しい形のお墓の提供にチャレンジしていきます。
- 中島:
- 今福展示場は、いろいろな石や墓石を見られるだけでなく、はっきりと価格が表示されているのもいいですね。墓石の価格はよくわからなくて不安という人も予算感がわかって、自分がどんな墓石を選ぶべきかがわかるでしょう。
- 山崎:
- そうなんです。埼玉県最大級の広さと墓石の数が自慢なので、気軽に立ち寄っていただきたいなと思っています。
初代から引き継いだ3つの守り神を、日々の戒めに
- 山崎:
- 今回はぜひご覧になっていただきたいものがあるんですよ。(写真パネルを取り出して)今から33年前、昭和61年のお正月に撮った当時の山崎石材本社の写真です。この建屋は50年前に建てたもので、川越駅の東口に在りました。その後、川越駅の再開発のため取り壊し、西口に現在の本社ビルを建てて移転したのです。(写真を指しながら)ここに布袋様がいて、裏側には狛犬も写っています。十三重の石塔もございます。
- 中島:
- これは、先ほど今福展示場で拝見したものかな。
- 山崎:
- そうです。この布袋様は、弊社の初代であり私の祖父、せいぞうが茨城工場で造らせたものなんです。
- 中島:
- 茨城工場の名工ですね。
- 山崎:
- 店の前につくったのがミソなんです。布袋様は堪忍の象徴ですからね。
- 中島:
- 不満や嫌なことは、背負っている堪忍袋にため込むといわれていますよね。ご商売人にぴったりだ。
- 山崎:
- 商売も人生も何事も忍耐です。布袋様を見ながらいつも「商売というものは堪忍の連続だ」と戒めているわけです。そして、裏側には狛犬もいるんです。
- 中島:
- なかなか立派な狛犬だ。神社仏閣に設置されていても見劣りしませんよ。
- 山崎:
- 初代は狛犬が好きで、大きいものから小さいものまで多種多様に、茨城工場で彫らせたようです。現在は今福展示場に飾っております。
- 中島:
- 何十年経っても朽ちることなく残っているのは、普遍的な石だからこそ。この十三重の塔というのも見事なものでしたね。
- 山崎:
- 高さがあるから威風堂々として存在感があります。これが寺社仏閣の前に建ちますと、やはり風格と風情が生まれると思います。
- 中島:
- かつてはお寺の中にあったといいますね。今では寺のシンボルになって、ちょうど場所のよいとこにありますね。塔があるとなんとなくその場が厳かになって、頭を自然と下げたくなるような、そうゆう気持ちになります。布袋様と狛犬と十三重の石塔。ご先祖様はいいものを遺してくださいました。なかでも布袋さんがいいですねぇ。堪忍袋の中にいっぱい忍耐を入れて、口をきゅっと締めて。「我慢しろよ、一生懸命やれよ、一歩一歩行け」と言っているような。お顔もよく、お目にかかったことがないのに先代のお顔が浮かんできますよ。これらの石の工芸品には、山崎石材の歴史が詰まっていますね。
- 山崎:
- 「これらは売ってはならん」と言われていまして。山崎石材が続く限り、守り本尊として大切にしていきたいと思います。石というのは永久不滅で、こうやって時代を超えて、現在を生きる我々に何かを伝えてくれることが、本当にありがたいことだなと思います。
伝統、技術を次世代へつないでいく。それが世間への奉仕に。
- 山崎:
- 中島先生、本日は山崎石材の四代目を紹介させてください。よそ様で修行をしておりましたが、満を持して今年の4月3日に入社いたしました。
- 中島:
- それは、すごい!
- 四代目:
- はじめまして、山崎 晃平と申します。お目にかかれて光栄です。
- 中島:
- こちらこそ。ぜひ晃平さんに伺いたいのですが、若い世代は石についてこれからどうあるべき、と考えていらっしゃるのでしょうか。
- 四代目:
- 最近は、樹木葬やロッカー式の霊園など新しい供養の形というのが生まれています。やはり、そういった時代のニーズは十分にくみ取る必要があるとは思います。しかし、石は何十年何百年経っても、そこに美しく存在しているものです。そんな石の持つ普遍性や歴史、伝統など、石にしかにない良さを伝えるのが四代目としての役割かと考えています。これから、石についてどんどん勉強して、これからの時代にあった新しい供養の仕方を考え、提案していかねばらないと思っております。
- 中島:
- すばらしいお答えをいただきました。山崎さん、社長としてもお父さんとしても安心ですよ! 山崎石材の伝統、技術、そうゆうものを歴史として晃平さんがきちんと受け継いでいく。そしてまた次の世代へ伝え、どんどんつなげていく。これが本当のお仕事というものだし、世間への奉仕といえるでしょうね。
- 山崎:
- ありがとうございます。
- 中島:
- やはり石というものは遺りますからね。日本には3千年以上の縄文文化というものがあります。その代表的なものに青森県の三内丸山遺跡がありますが、住居などは木製だったから朽ち果ててしまった。あれがもし石で造られたものだったら、エジプトの神殿や英国のストーンサークルのように遺って、世界的なものになっていたと思うんですよ。日本は木の文化で石でないのが残念ですけども、そのくらい石というものは永遠であって、また未来に伝わっていくものですね。晃平さんはいいお仕事を選ばれました。うらやましい限りです。
- 山崎:
- これから息子ともども一生懸命仕事に励んでまいります。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。
- 中島:
- 晃平さん、ひとつお励みになってください。
- 四代目:
- ありがとうございます。