2017年 中島誠之助 山崎石材を語る

2017年よりイメージキャラクターとして活動していただく中島誠之助氏と、 弊社代表取締役である山崎雅康の対談が実現しました。“お墓と家族のつながり”などを 改めて考えさせられるお話をお楽しみください。

スペシャル対談
子供たちがお墓参りを風習として受け継ぎ、 気軽に遊びに来てくれる 心地よい墓が理想ですね。

寺社の石門造りから現代まで、川越の町に足跡を残す

山崎:
本日はわざわざ川越までお出向きいただき、ありがとうございます。今回、対談場所としてご用意した鰻屋は、私の祖母の実家で、天保3年に創業されたと伝えられています。
中島:
それは立派な老舗ですね。
山崎:
180年間、秘伝のタレは継ぎ足しながら守られています。現当主である伯父は、企業秘密だからと絶対に見せてくれません。タレが入った甕(かめ)を先生に鑑定していただきたいんですけどね(笑)。
中島:
お金にも命にも代えられないものですから、難しいね(笑)。
山崎:
私共の初代もこの近くで石材屋を始めました。川越を代表するお寺の一つ、蓮馨寺さまの大きな石門には初代山崎留五郎が造ったと刻印されています。その後、廃業をしたのですが、分家に出ていた私の祖父が家業を受け継ぎ、明治20年に現在の山崎石材を興したのです。
中島:
古いお家柄なんだね。川越は門前町だし、町のいたるところに山崎石材さんのお仕事が残っているのでしょう。しかし、本社ビルは気合が入っていて立派でした。外壁が赤く、内装はクリーム色という配置がいいね。外から一歩踏み入れると、すっと気持ちが切り替わる、心憎いばかりの配色です。さすがに、いい仕事をされていますねぇ。どんな石を使用されているのですか?
山崎:
外壁はスペイン産のピンクポリーニョというみかげ石で、内装にはイタリア産のボテチーノという大理石を使用しています。昨年亡くなった先代が37年前に、石材店らしく石をたくさん使ったビルを建てました。
中島:
あれほど立派な石材を使ったビルは、なかなかないですね。風格があります。関東一、いや日本一じゃないでしょうか。

時代と共に、選ばれる墓石を提案し続ける

山崎:
時代と共に墓石も変わってきました。たとえば山崎石材を代表するブランド墓石「カーサメモリアシリーズ」を含め、石碑に家名ではなく「和」や「宙」など、ご家庭が大事にしている文字を彫り込めると人気です。
中島:
ヨーロッパの墓石には、故人にまつわるモチーフが刻まれていますよね。たとえば作曲家のベートーベンの墓石には楽譜、というように。日本でもそんな流れが来ているのですか。でも、日本風に和やかな形に変化しているのがいいですね。先ほどご案内いただいた今福展示場で見せていただいた、お墓で腰をかけられる墓石も大変によいアイデアですね。
山崎:
「語らいシリーズ」は、私が15年前にデザインしたものです。アイデアのきっかけは、あるおばあさんが「お墓そうじをすると疲れちゃうのよね」と、こぼしたことでした。
中島:
座り心地もなかなかよかったです。疲れ休めと共に、先祖と語らい、いろんな思いが浮かんでくることでしょう。お墓というより家具のような印象でした。非常に明るくて、ほのぼのとしましたよ。
山崎:
腰かけて先祖を偲び、ご戒名を見て手を合わせる。まさしく先祖に感謝すべきお墓が作れたかな、と自負しております。おかげさまで、ご好評をいただいています。
中島:
「今日はおじいちゃんのお墓参りに行こう」と、お弁当を広げたり、お茶を飲んだり。家族だんらんになりますね。
山崎:
そのようなお墓参りをしていただければ、本望です。

お墓とは、自分が在ることを先祖に感謝する場




山崎:
近頃は、海や樹木の下に散骨する人も増えているようです。自然に還すという行為は仏教の教えに通じることなので、それもよいとは思いますが、石材屋としては複雑な気持ちです。中島先生は、最近の仏事について、どうお考えでしょうか?
中島:
自然葬については、人それぞれいろんな考え方があるので否定はしません。でも、墓というものは先祖と自分、そして未来の子孫たちをつなぐ祀りの場所だと思うんですよ。私の祖先の墓は、東京・浅草にあります。150年以上も昔の嘉永4年に建てられたと刻まれています。当時の先祖がどんな人なのかは知りませんが、お墓参りをすることで、ひとつの永い血のつながりを感じます。お墓とは先祖を偲ぶというより、いま自分が在ることを先祖に感謝する場所ですからね。お墓参りは、生きている者の務めです。やはり、お墓がないとダメでしょう。
山崎:
まったく、その通りですね。
中島:
浅草という街は、正月の元旦にまず先祖の墓参りをするんです。それから神社へ初詣に行き、帰宅してからお屠蘇(おとそ)をいただく。これが一年の始まりのけじめなんですよ。
山崎:
まずは、ご先祖さまにご挨拶をされるんですね。川越では、一年間のお礼を述べるために、大晦日にお墓参りをする風習があります。
中島:
なるほど。俳句では年末の季語に「去年今年」(こぞことし)というものがありますが、まさに川越の風習は去年今年。決してそこで途切れるのではなく、過去から現在、そして未来へとつながっていることが伝わってきますね。お墓参りは、そのための節目ということなのでしょう。お墓があることで、自分の存在というものが浮かび上がってくるものです。
山崎:
先生のお話をうかがって、大晦日や元旦などお参りする日は違っても、日本各地で暮石が人をつないでくれているんだな、と感じました。
中島:
先祖に手を合わせるという習慣は、日本人のくらしに欠くことができないんじゃないかな。家族のつながりの真ん中に、仏壇とお墓があると思いますよ。
山崎:
これからどんな時代になっていくかわかりませんが、私はこの家業を一生懸命に続けていきます。みなさまに手を合わせていただける仕事に誇りを持っています。/dd>

中島:
社長にお会いして、日本の将来は大丈夫だという気がしました。先祖代々から続く伝統や家の文化を受け継ぎ守りながら、明日を見据えて新しい商品も開発している。ご商売を通じて、よいものを世に広めていくということが、一番大事なことですよ。
山崎:
力強いお言葉を今後の励みとします。
中島:
私は子どもや孫の顔を見ると、石の下で眠りたいと思いますね。自分が両親のお墓参りする姿を子どもが見て育ち、それをさらに孫たちが見て育つ。そうやって、お墓参りをすることは当たりまえの風習であることを家に残すことが大切です。家のしきたりや家族のつながりというものが、社会にとってひとつの大きな柱になっていくんじゃないですかね。
山崎:
先生からいただいた「やっぱり石の下で眠りたい」というお言葉は、私たちの家宝とさせていただきます。(了)/dd>